落下星の部屋.

  

☆人工透析
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【体験談】血液透析になってしまった

1)透析病院へ転院

右目の視力を失ってからしばらくして、当時通院していた公立病院の内科部長に

「この病院には透析外来がない。あなたはゆくゆく透析が必要になるから、

いまのうちから転院したほうが良い」と、なかば強制的に同じ市内の病院に転院をすすめ

られました。まだ右足があったころのことです。

転院した病院では、糖尿の治療と平行して、腎不全の食事教育が始まりました。

糖尿病ではカロリー制限だけですが、腎臓病になると、カロリーの他に水分・塩分・

たんばく質などの制限が加わり、格段に難しくなります。

それまでに覚えた「単位」は全部わすれて『腎臓病用の単位』を憶えなおす必要にせまられます。

そして、その食事内容はたんばく制限のためか、甘い物や油物を取ることを要求されるのです。

一見糖尿食と正反対に思える食事にほんとうに困り果てました。

「えーいっ、こんな面倒なことができるかっ。どうせならオレは食品成分表で

徹底してコントロールしてやる。」とむきになったのはこの時からです。

この時には透析のことなど全くわからずにいましたが、やがて右足の壊疽で入院

した時には、病室仲間の話をきいて、人工透析の事を学びました。

やがて、クレアチニンが8.0をこえて、透析導入になります。ちょうどまる1年前のことです。

 

2)また救急車のお世話に・・・

腎臓は血液の中から水分とともに老廃物をしぼりだし、尿として排出する臓器です。

機能が悪くなると尿にたんばく質が出てきます。

このことを知らなかった私はドクターに「たんばくが出てるよ」と言われても、

なんのことかもわからずに「はい」と返事をするだけでした。

それで、なにも自覚症状を感じることはなかったのです。

2〜3日、胸がむかつくと思っていたら、夜中に急に吐き気が襲いました。

また、上体を起こしていると良いのですが、横になると咳がでて止まりません。

息ができずに苦しくて苦しくて・・・・救急車で病院へ・・・・・・

 

3)透析と言うもの(後でわかったこと)

翌日から早速透析が始まりました。腎臓は血液の中から水分とともに老廃物をしぼりだし、

尿として排出する臓器です。

そして腎臓には目と同じように毛細血管が多く、糖尿でぼろぼろになった血管がつまったり

切れたりするのだそうです。

この毛細血管の部分が、水分や老廃物をしぼりだす作用をしているのです。

こうして腎臓がやられると、老廃物が蓄積され、死を迎えることになります。

また、水分も排出されないので、体がむくみ、余分な水分が肺や心臓などにたまり、

これも死がまっています。

私が咳で呼吸ができなかったのは肺に水がたまったのが原因だそうです。

いやぁー、苦しかったぁ。

急性膵炎のときも「死にそうだ」と思ったのですが、これも本当に苦しい。

ほかに病気のない人はクレアチニンが6程度で透析導入となるのだそうです。

しかし、糖尿病だと8ぐらいまで、ぎりぎりおくらせて透析導入するのだそうです。

透析はいくつかの方法がありますが、私が行っているのは血液から老廃物を取り除くために、

動脈から血液を取り出し、ダイアライザー(フィルターですね)でろ過して

静脈にもどす方法(血液透析)です。成分献血の状況によく似ています。

これだと、正味4時間。準備や止血の時間を含めると5時間かかります。

これを週3回おこないます。これをしないと死がまっています。

でも、これでは仕事が・・・。

これに対して腹膜透析というのもありますが、便利な反面、感染症にかかりやすい

と言う事で、管理が大変なのだそうです。

正直な気持ち、片足がなくなっても、片目が見えなくても、なんとか生活はできますが

透析になると生活そのものが危うくなります。

億単位の貯えがあれば、なんとかなりますが。病気の苦痛よりも、

「仕事ができない=収入がへる」ことの方が問題になってきます。

身体障害者の認定は受けられますが、それだけでは・・・

とにかく、透析や両眼失明だけはさけたい合併症ですね。

糖尿病はそれ自体ではたいして恐しくはない病気ですが、

合併症をまねくと本当に恐ろしい病気に変身してしまいます。

しかも、同じような病状の人でも、合併症になるかならないかは予想できません。

まして、「ここまでなら大丈夫」とか、「これ以上なら必ず合併症」と言う境目は

だれにもわかりません。

効果があるかどうかは疑わしくとも、ドクターの指示にすなおにしたがうしかないのです。

現代の医学では糖尿病はなおせません。進行を遅らせるだけでせいいっぱいなのです。

厳しい言い方ですが、それが現実なのです。

これ以上悪くしないために、日々努力を重ねる覚悟でいないと・・・

私を「おろかなやつ」と笑って結構です。でも、あなた自身は

絶対に同じ道をたどらないと約束してください。本当にお願いいたします。